リスクを分散する

リスクを分散する

投資の世界では、「一つのカゴに卵を盛るな」という格言があります。
これは、カゴを落とすと卵が全部割れてしまうので、
その危険を分散して避けるという意味です。
分散投資(資金を分散して投資すること)には、投資資産全体のリスクを小さくする効果があります。

一つの金融商品に集中して投資した場合には、
その金融商品の価値が大きく目減りした場合、損失が大きくなってしまいます。
金利や為替の変動などに対して異なる値動きをする金融商品を組み合わせたりすることによって、
リスクを小さくすることができます。

 

 

また、投資を一度に行うのではなく、投資する時期を何度かにわけて時間分散することにより、
投資するタイミングを外してしまうなどのリスクを回避することができます。
例えば、一カ月ごとに一万円ずつ、株式や投資信託などに積立投資するなど、
投資する時期を分けることにより、投資するタイミングによるリスクを小さくすることができます

 

 

リスクとリターン

リスクとリターン

金融商品には、必ず「リスク」が伴います。
「リスク」とは、一般的には「危険」「避けるべき」と考えられていますが、
金融の世界では、「リスク」は「不確実性」のことを指しており、
期待したリターン(収益)が予想を上回ったり下回ったりする可能性があることを意味します。

リスクとリターンには、密接な関係があります。
リスクが低ければ、その分、リターンが低くなり、高いリターンを望めば、
その分リスクも高くなります。

元本割れを避けたいと考えている人であれば、
リスクが少ない金融商品が適しています。
一方、高いリターンを望む人は、リスクの高い商品を選ぶということになります。

 

自分のリスクに対する考え方によって、選択する金融商品が変わってきます。

金融商品のリスクには、大きく分けると、
「信用リスク」「価格変動リスク」「為替変動リスク」「カントリーリスク」などがあります。

信用リスク

株式や債券などを発行している会社が経営状態の悪化や経営破たんなどにより、
金融商品に投資した元本や、利子の支払いが滞ったりするリスクのことをいいます。
信用度を判断する材料として、「格付け」という制度があります。
これは、元利金支払いの確実性を格付け会社が評価し、それをランク付けしたものです。

 

価格変動リスク

価格が変動する金融商品は、売却したときの受取金額が当初支払った金額を、
上回る場合もあれば下回る場合もあります。価格が変動する代表的な商品として、株式があります。
また、複数の投資家から集めた資金を、株式や債券などに分散して投資し、
運用される投資信託も、組入れている金融商品の価格変動の影響を受けます。

 

為替変動リスク

外国の通貨で取引される外貨建ての金融商品は、
外国為替レート(日本円と外国通貨との交換割合等)の変動による影響を受けます。
購入時より円高になると、円での手取り額が減り、
その度合いによっては、利子や配当分を帳消しにして元本割れになることもあります。
逆に円安になると、円での手取り額が増え、為替差益も得ることができます。

 

カントリーリスク

投資の対象を海外に広げた場合、対象とする国の政治情勢や経済状況の変化などにも注意が必要です。
国ごとの信用リスクを評価するひとつの基準として、
内外の格付け会社や調査会社などから発表される「カントリーリスク情報」があります。

 

 

投資信託

投資信託とは

投資信託は、少ない投資金額でも効率的な資金運用ができるようにつくられた商品です。

個人でいろいろな金融商品を買おうと思っても、
持っているお金が少なければ買うことができません。
そこで、一人ひとりが出す金額は少なくても、
多くの人からお金を集めて大きな金額にして、いろいろな金融商品を買い、
そこから得られた利息や売却益等を、
その購入金額の割合によって分けましょうというのが投資信託です。

投資信託の多くは、主に証券会社と銀行、郵便局で買うことができます。
扱っている投資信託の種類が多いのは証券会社です。
投資信託には、いつでも買えるものと販売期間が決まっているものがあります。

多くの投資信託は通常1万円から買うことができますが、
10万円以上あるいは100万円近い投資信託もあります。

いつでも買える投資信託の多くは、満期がありません
(あるいは、満期があっても満期までの期間が非常に長い投資信託です)。
逆に、購入期間が決まっている投資信託は満期があります。

 

預貯金とどう違う?

元本の保証がなく、元本が増減する可能性があります。
買った商品が利息や収益を生めば分配金(利息にあたるもの)が
受け取れますが、保証はされていません。
種類がたくさんあります。

投資信託は、毎日値段が動いている株式や債券等に投資しますので、
元本も毎日変動します。
そのため、元本を保証することができないので、
絶対安全とは言い切れません。
ただし、安全性の極めて高い債券等に投資することによって、
預貯金のような安全性を確保するようにつくられている投資信託もあります。

金融商品分類

資産づくりのための金融商品分類

自分の資産づくりに金融商品を活用するためには、
金融商品それぞれの性格をよく理解しておく必要があります。

金融商品には、普通預金、貯蓄預金のように、
必要なときにすぐに引き出すことのできる「流動性商品」、
定期預金・個人向け国債など一定期間は現金化できませんが、
普通預金等に比べて利率の高い「定期性商品」、
株式・投資信託など、市場の動向によって価格が変動する「価格変動商品」、
外貨預金、外国投資信託など、外国の通貨で取引される
「外貨建て金融商品」などがあります。

金融商品には、投資した元手である元本や利子の支払いの
確実性を示す「安全性」、期待される収益を示す「収益性」、
換金のしやすさの程度を表す「流動性」の3つの要素があります。
これらの3つの要素が全て優れている商品はありません。
マネープランに応じて、これらをバランスよく組合わせることが必要となります。

 

安全性

例えば、預金は銀行が、また、債券は発行した会社が元本や利子の支払いを
保証しているため、安全性が高いといえます。
とくに預金の場合は、預け先の銀行が万一、経営破たんした場合でも、
預金保険の対象となっている預金であれば、元本1,000万円と利子が保護されます。
そのため、預金については、預金保険などの保護制度の対象となっているか、
債券であればそれを発行している会社の経営状態を確認した方がよいでしょう。

収益性

株式や投資信託などの金融商品は、預金などよりも収益が期待できる反面、
市場の動きによって収益が左右されるため、元本割れなどのリスクも伴います。
どの程度のリスクを受け入れられるか、
自分自身の責任で投資の判断をすることが大切です。
なお、これらの金融商品を購入する場合には、
当分使用する予定のない余裕資金を充てることが基本となります。

流動性

金融商品によって、現金化や引き出しに関する条件がそれぞれ異なります。
具体的には、途中で換金すると解約手数料が発生するものや、
現金化するためには日数がかかるものもあるため、
あらかじめ確認しておくことが必要です。

 

金融商品を選ぶときには、安全性、収益性、流動性のどれを重視するか、
配分を考えて組み合わせることが大切です。

金融商品

資産づくりのための金融商品分類

自分の資産づくりに金融商品を活用するためには、
金融商品それぞれの性格をよく理解しておく必要があります。

金融商品には、普通預金、貯蓄預金のように、
必要なときにすぐに引き出すことのできる「流動性商品」、
定期預金・個人向け国債など一定期間は現金化できませんが、
普通預金等に比べて利率の高い「定期性商品」、
株式・投資信託など、市場の動向によって価格が変動する「価格変動商品」、
外貨預金、外国投資信託など、外国の通貨で取引される
「外貨建て金融商品」などがあります。

 

商品区分 金融商品例
流動性商品 普通預金・貯蓄預金・MMF・MRF
定期性商品 固定金利 定期預金・定額預金・定期積金・債券(満期まで保有する場合)・個人向け国債(3年・5年固定金利型)
変動金利 変動金利定期預金・貸付信託・個人向け国債(10年・変動金利型)
価格変動商品 株式・債券(満期前に売却する場合)・投資信託
外貨建て金融商品 外国投資信託・外国債券・外国株式・外貨預金

 

債券

債券は、国、地方公共団体、会社等が、お金を借りるときにつくられます。
普通、お金の貸し借りをするときには、借りた人が貸してくれた人に対して、
借りたという証拠を残します。
そのときに、借用書や借用証書というものがやりとりされるというのは
イメージできると思います。
国、地方公共団体、会社等が多数の投資家から
お金を借りるときに発行するのが債券です。

国が国民からお金を借りるときに発行する債券を、
国の債券という意味で「国債」といいます。
また、株式会社が一般の人やほかの会社等からお金を借りるときに発行する債券を、
会社の発行する債券という意味で「社債」といいます。

債券は、あらかじめ何年後にお金を返すのかを決めて発行されます。
その期限のことを満期といいます。
借りる期間が5年なら5年たつと満期になります。
そして、満期になると借りたお金は全額返さなければなりません。
また、お金を借りている間は、
毎年そのお金の“使用料”として利息を支払う約束になっています。

預金とどう違う?

預金と似ている点
定額預金(貯金)のように、期限(満期)が来るとお金が全額返ってきます。
満期になるまでの間、利息が受け取れます。

預金と違う点
債券は期限が来る前に売買できます。
債券の価格は毎日変化します(途中で換金する場合に購入価格より高かったり安かったりします)。
社債の場合、社債を発行した会社が社債の満期の前に倒産すると、
貸したお金が返ってこない可能性があります。

債券を発行した国や会社が、
借りたお金を返すだけの力があるかどうかで安全かどうかが決ります。

その意味では、国が発行する国債は日本の国がつぶれない限りは
安全ということになりますから、
最も安全性が高いといえます。
これに対して一般の会社の場合は、会社の経営状況に左右されます。
そのため、社債が安全かどうかは、
お金が返ってくるかどうかの可能性をランク付けした
「格付け」というものを目安に判断します。

株式

「株」とは

「株」とは正式には株式といいます。

会社が活動していくためには資金(お金)が必要です。
資金を大勢の個人やほかの会社等から提供してもらい、
それを元に活動し、利益をあげることを目的とした会社が株式会社です。

株式会社への出資者(投資者)は特に株主と呼ばれます。
株式会社とは株主で構成された会社ということです。

株式は、会社の活動資金を集めるために発行されます。

会社が活動資金を集めることを資金調達といいますが、
この集め方には大きく3通りあります。

 

資金調達方法

    1. 金融機関から借金して集める方法

      金融機関からの借り入れは、借りたお金ですから期限がきたら全額返済しなければなりませんし、お金を借りているのですから利子も毎年支払わなければなりません。

    2. 一般の人や会社等から借金をする方法

      一般の人や会社等からの借り入れは、借りたお金ですから期限がきたら全額返済しなければなりませんし、お金を借りているのですから利子も毎年支払わなければなりません。

    3. 株式を発行して株主を募る方法

      株主から集めたお金は株主に返す必要はありません。会社は返済や利子のことを考えずに経営ができるので、借金に比べて好都合です。

株主は、出資したお金を回収方法

株主は、出資したお金を回収方法は、
その会社の株式が欲しいという投資家に自分の持っている株式を売ってお金に換える方法です。
これが、株式の売買です。

株式投資の最大の魅力は、値上がり益です。

預貯金は、安全性が高い反面、収益性には限度があります。
預貯金にはない大きな収益が期待できる。ここが株式投資の大きな魅力です。

配当金とは、企業が1年間に稼いだ利益のなかから、
株主に対して支払われるお金です。

ただし、必ず支払われるというものではなく、
会社が支払うと決めたときにだけ支払われます。
ですから、利益があっても支払わない会社や、利益がなくても支払う会社もあります。

なお、株価の値上がりによって得る収益を「キャピタルゲイン」、
配当金で得る収益を「インカムゲイン」といいます。

株式投資はリスクが高い、あるいは大きいといわれます。
一般的に「リスク=危険」ととらえられていますが、
実際のリスクとは、結果が予測できる度合いのことをいいます。

例えば、預貯金の利息は、預けたときに1年後にいくらもらえるか予測でき、
ほぼ確定するため、リスクは極めて低いといえます。
それと比べて、株式の値段である株価は、
会社が1年後どうなっているかはまったく予測できないため、
リスクが高いということになります。

それは株価に関していえば、どれだけ下がるか分からないという意味だけでなく、
どれだけ上がっているかも予測できないという意味も持っているということです。
リスクが大きいほど安全性は低いということになります。

株式投資でまず考えなければならないリスクは、会社の倒産です。
倒産すれば、株式は無価値になってしまいます。

「貯蓄」と「投資」の違い

「貯蓄」と「投資」の違い

「貯蓄」と「投資」は、
どちらも将来に向けての資産づくりのために行います。
「貯蓄」は、「将来のためにお金を蓄えること」で、
どちらかといえば「安全に」、「確実に」、
「必要なときにすぐお金を引き出せる状態で保管する」
という意味合いが強いといえます。

 

一方、「投資」は、「利益を得るために資産を投下すること」で、
「今あるお金を使って、その結果生じる成果(利益)を期待すること」
であるといえます。
ただし、投資によってもたらされる利益は、投資する時点では、
「期待するもの」であって、「確実なもの」ではありません。

投資は「不確実」な要素を持っていますが、
その一方で貯蓄よりも高い「収益」を得る可能性も持ち合わせています。

 

 

ライフプランとマネープラン

資産づくりの第一歩は、自分の人生設計図であるライフプランを考えることです。
つまり、自分や家族が、「これから人生をどのように過ごしていくか」
という夢や目標を明確にすることから始まります。

結婚や出産、住宅の購入、子どもの成長に応じた教育や老後の生活など、
それぞれのライフイベントとその時期を考えます。
そして、「そのライフイベントにはどれだけお金が必要になるか」、
「いつまでにいくら用意すればよいか」などのマネープランを立ることが重要です。